昨日、4カ月ぶりに整体に来られたYさんは、私の予想よりはずっと調子が良さそうでした。お話をうかがう内にその理由の１つがハッキリしてきました。ご近所でもコロナ感染が広がり、「家から一歩も出ないようにしていた」とおっしゃるＹさんが、比較的好調を保てた理由は何だったのでしょうか？
ポジティブな出来事にフォーカスする
何でもキッチリとやろうとする真面目な性格の反面、心配性の傾向が強いYさん。
暗いニュースばかりが目白押しのこの４カ月間の間にメンタルをやられていなければいいな…、という私の予想は良い意味で裏切られました。
「肩の痛みが出てもう行かなきゃダメだ」
と感じたとのことで、たしかに肩から首にかけてはガチガチだったのですが、声が意外なほど明るいことに驚きました。
施術が進んでいく中、ふと言われた一言にヒントがありました。
「体操と３行ポジティブ日記だけは毎日続けているんです」
「体操」の方は、次回かその次にご紹介する予定ですので、その機会に譲りますが、
３行ポジティブ日記とは、
「夜寝る前の15分間以内、できれば寝る直前にその日あった楽しい出来事を3つ書く」
という超シンプルなメソッドです。
初めて聞く方、知っているけど試したことのない方は、「そんなことで効果があるとは思えない」とおっしゃるかもしれません。
しかし、その絶大な効果は、アメリカ心理学会の会長も務めたポジティブ心理学の創始者、マーティン・セリグマン博士の実験をはじめ、多くの研究結果によって示されています。
私自身は、精神科医・樺沢紫苑先生のYouTube動画で知り、実践するようになりました。ちなみに、11.9に発売された樺沢先生の新刊『言語化の魔力』の中でも紹介されています。
脳は元々、ネガティブ・フォーカス
なぜ、「楽しい出来事を3つ書く」という簡単な方法がそれほど効果があるのかというと、それが日常の中の幸せな出来事にフォーカスする習慣につながるからです。
人は元々ネガティブな出来事に注目しやすくできています。そうでなければ、ジャングルなどの危険な環境では外敵から身を守ることができなかったからです。
命の危険があれば一早く発見し、対処できる、ということを最優先にしてきた結果、人の脳はネガティブにフォーカスしやすく発達してきたのです。そして、ネガティブにフォーカスしがちな傾向は、都会化し、日常生活で身に危険な出来事が起こる機会が減った今日でも残っているのです。
また、TVのニュースなどのメディア情報は、人間の脳のネガティブ・フォーカスの習性を最大限に利用して、人々の不安を煽る情報を選んで報道する傾向があります。ですから、昨今のような不安要素が多い時節では尚のこと、メディア情報をそのまま鵜呑みにしていると、心はネガティブへと向かうばかりになります。
ところが、3行ポジティブ日記によって、ポジティブにフォーカスする習慣を続けると、徐々に日常の何気ない小さな幸せに気づく「幸せ収集能力」が付いてきます。
幸せといっても、「散歩したとき天気が良くて気持ちよかった」とか「昨日蕾だった○○の花が今日は咲いていた」といったほんの些細なことで構わないのです。
「幸せ収集能力」を高めることさえできれば、今までと同じ毎日を過ごしても、楽しい出来事にフォーカスして感じ方も鋭敏になってきます。苦しい出来事はスルーできるようになって、日々のストレスも減っていきます。
「真面目過ぎる」などと言っていないで…
以前、私はYさんに対して
「何事も真面目に受け止めすぎですよ」
と言う機会が多かったのです。
特に新型コロナウィルスの感染拡大以降は、メディアの伝える深刻な事態がすべて自分や自分の家族にすでに起こっているかのように受け止めて、身体を硬くして浅い呼吸になってしまっているのが、常でした。
そんな会話の中で、「3行ポジティブ日記」をおすすめしたはずですが、実を言うと私の方は、Yさんにおすすめしたことをスッカリ忘れてしまっていました…。
おすすめした私の方が忘れているようなことを毎日続け効果を出したのも、Yさんの「真面目さ」の成せるわざでしょう。私も「真面目過ぎる」などと、ともすれば失礼なことを言ってばかりではなく、その真面目さを活かせる方法をもっと考えるべきだった、と反省させられました。
昨日久しぶりにいらしたYさんは、たしかに肩周りなどは硬くなっていましたが、話し方も選ぶ話題も以前とは違っていました。明らかにポジティブにフォーカスする「幸せ収集能力」が高まっていました。
そして、実はそのお陰もあって、より身体がゆるんで整いやすくなっていたのです。
どうしても、ネガティブなことに注目してしまいがちな「真面目」なあなたにも、「3行ポジティブ日記」をおすすめします！
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